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鍛造の結婚指輪に傷は付かないのか?

鍛造製法

鍛造の結婚指輪は、鋳造で作る場合に比べると素材が硬くなるため傷がつきにくくなります。しかし、すべての指輪に傷がつかないということはなく、結婚指輪の金属となる素材によります。「傷がつかないと思ったから鍛造の結婚指輪を選んだのに、いつの間にか傷がついていた…」という例があります。
何が悪かったのでしょうか?鍛造の結婚指輪に傷がついてしまう場合についてご説明します。

傷がつきにくい理由
鍛造の結婚指輪に傷がつきにくい理由ですが、ハンマーで叩きながら金属に含まれる空気を押し出し、繰り返し金属を鍛えることで表面の硬さが高くなり、傷がつきにくくなります。
ただし、鍛造指輪だとしても、傷は必ずつきます。その中には、結婚指輪の素材によっても傷が付く程度が変わって参ります。傷がつきにくい素材を選ぶことで、鍛造加工との相乗効果でよりいっそう丈夫な金属になるでしょう。

傷がつきやすい金属
結婚指輪の素材に使われる純金や純プラチナは柔らかく傷も付きやすい素材です。
一般的にプラチナは傷がつきにくいと思われているようですが、プラチナにほかの金属をまぜて強度を上げています。Pt900は、プラチナの純度が90%のプラチナです。
残り10%にほかの硬めな金属を加えることによって強度が高いプラチナになります。ほかの金属とまぜることで、通常のプラチナより傷がつきにくくなっています。
純金なども傷がつきやすい素材のひとつですけど、K18は傷がつきにくくするために、75%のゴールドに25%のほかの金属がまぜてあります。
ほかの金属をまぜることで、プラチナやゴールド単体よりも傷がつきにくくなります。

傷つきにくい金属
チタンなどは、傷がつきにくい金属だと思われていますけど、毎日指にはめていると劣化が進みます。傷つきにくい金属にあげられているのは、チタンやステンレス、ジルコニウムやパラジウム、タンタルやタングステンなどの金属です。
傷がつきにくい金属ということは、硬くてサイズ直しなどが難しくもなりますから、金属の特徴をよく考えた上で最適な硬さのものを選ぶようにしてください。

モース硬度とビッカース硬度
モース硬度というのは硬さを示す尺度で、傷つきにくさの目安となります。金属の硬さを測る以外に宝石の硬さを測る場合にも使われます。硬い宝石ほどモース硬度が高くなるります。硬い宝石の代表といったら、ダイヤモンドでしょう。ただ、傷つきにくいというだけなので、ダイヤモンドもハンマーで叩くと傷がつきますから、絶対に傷がつかないというものではありません。
ほかにも、「ビッカース硬度」と呼ばれる、金属に圧力をかけて押し込んだときの強さを示す尺度もあります。モース硬度やビッカース硬度を参考にすれば、傷つきにくい結婚指輪を探す際の参考になるのではないでしょうか?

より傷がつきにくいものを選ぼう
結婚指輪は毎日つけるものなので、どんなに傷のつきにくい金属を選んだとしても、長い年月を経たときに劣化が進むことはありえます。それでも、鋳造製法で結婚指輪を作るよりは、金属を鍛えてから指輪に仕上げる鍛造製法を選んだ方が傷はつきにくくなります。傷つきにくい結婚指輪を選ぶには、傷つきにくい素材を選んだ上で、鋳造ではなく、鍛造製法の指輪を選ぶ事です。さらに、鍛造特有の槌目模様や粗めのテクスチャーを入れた、傷が目立たないデザインを選ぶことで、傷を目立たなくすることができるでしょう。