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『閉塞鍛造』とは?

鍛造製法

閉塞鍛造とは

閉塞鍛造(英語:fully-enclosed die forging)とは、型鍛造の仲間の鍛造方法です。製造方法は、型の内部に素材を閉じ込めてプレスするという意味では密閉鍛造に似ています。

このような方法によって造られる代表的な製品には、ベベルギアやインナーレース、クロスジョイント、トリポートといったような、複雑な形で精密な成形が求められる自動車部品があります。

それでは、閉塞鍛造について詳しくみて参りましょう。

 

閉塞鍛造の仕組み

閉塞鍛造の製法は、密閉鍛造とどう違うのでしょうか。

密閉鍛造は、閉じた型のなかに素材を入れて、パンチで押し込むことでバリを出さずに成形する鍛造方法です。仮に、この方法によって型を素材で完全に埋め尽くすまでパンチで圧力をかけると、パンチが破損してしまいます。よって精密に変形させることは難しくなります。

冷間鍛造が登場してからは、あらかじめ型に小さな材料流出口(捨軸)を設けることで、パンチの負荷がかかりすぎないようにする方法も採用されました。しかし、これでも完全に型を埋めることはできません。

一方の閉塞鍛造はというと、上下金型の間に入れた素材をパンチによって上下から圧縮することで半径方向押出しをし、型に充満させる鍛造方法です。閉塞鍛造は密閉鍛造とは異なり、すべての素材表面が金型と接触している訳ではないというところが特徴です。

閉塞鍛造の多くは温間で鍛造されます。

 

閉塞鍛造の特徴

閉塞鍛造の仕組みでも説明をしたように、寸法精度の高い製品をつくることができます。特徴的な製法によってバリが発生せず、材料歩留まりを向上させるために採用されています。またバリ取りの工程を省略できることで、工程数の短縮やコストダウンに貢献します。

閉塞鍛造は、密閉鍛造に比べてパンチに加わる荷重が軽減できるので、省エネルギーで成形することができます。

また、鍛造製法は職人が行うというイメージがありますが、閉塞鍛造は1つの工程で成形が終わるため「熟練した技を習得しなければいけない」といったような難しさはなく、1人のオペレーターが作業をすることで製造が可能です。

日本で造られる鍛造品の7割は自動車部品であると言われています。日本の鍛圧技術が自動車産業の未来を担っているといっても決して過言ではないのです。そして今も、よりよい製法やコストダウンを目指して開発が行われているのです。