Column コラム

ダイヤモンドが結婚指輪から落ちてしまう悲劇④

指輪

ダイヤモンドが結婚指輪から落ちてしまう悲劇

■ダイヤモンドが外れて落ちる?

指輪そのものの耐久性とともに大切なのが、宝石をしっかりと掴み、支える「枠」や「爪」といった部分、つまりダイヤモンドの留め方です。

実はこの留め方によっては、意外なほどにあっけなくダイヤモンドが外れて落ちてしまうことがあるのです。

 

これはひとつには、デザインの問題です。デザインを重視するあまりダイヤモンドを支える枠があまりに細すぎたり、石を留めている爪がきわめて華奢にできているなど、強度を出せないデザインになっていると、ぶつけたり引っかけたりしたときに枠や爪が曲がってしまい、最悪の場合ダイヤモンドが落ちてしまうことも数多くあります。ことに結婚指輪でよく使われている「メレ」──メインストーンの周囲に小さなダイヤモンドをいくつも散らしたデザインでは、この小さな石がとても外れやすいので注意が必要です。

 

さらに指輪の製造法も関係してきます。のちほど詳しくお話ししますが、指輪はその製造方法によって、仕上がりの強度にかなりの差が生まれるものなのです。ですから強度に疑問の残るデザインで、しかもあまり強度を出せない製造方法で作られた指輪ですと、時としてこうしたトラブルが起こります。

 

また、爪が微妙に曲がってしまうことで石が緩んでしまう、ということはよく起こります。もちろんそれは肉眼で見て明らかに判るようなものではありません。そのため気づかない方がほとんどなのですが、この状態のまま放置しておくと緩みがどんどんひどくなって、最後には石が外れてしまう、ということにもなりかねません。

 

皆さんが思っている以上に、指輪の爪はデリケートなもの。しかも指輪は日常生活の中で、気づかぬうちに何かに強くぶつけたり、ひっかけたりといったアクシデントに常にさらされています。それは人間にとってたいしたものでなかったとしても、指輪にとっては、とてつもなく大きな衝撃なのです。それを思うと、どんなに万全を期したところで「絶対に石が緩まない」という指輪を作ることは不可能です