Column コラム
宝石業界裏話(3)【大ヒットの裏では…】
以前、テレビコマーシャルで婚約ダイヤモンド指輪が大々的に流れていました。
有名女優を起用した事もありそのデザインは大ヒットしました。
多くの宝石販売会社はこのデザインを取り入れ販売しました。
宝石業界、特にブライダルジュエリー業界にとっては大変喜ばしい事でした。
ただ、その喜びも一瞬でした。
このデザインを購入した消費者から
『ダイヤが落ちた!』のクレームが全国の販売店にやってきたのです。
デザインに欠陥がありました。
ダイヤモンドを小さな爪2箇所だけで留めているデザインだったのです。
見た目には美しく、ダイヤモンドが横からも見えるデザインなのですが、ダイヤモンドを小さな爪で2箇所でしかおさえていないので小さな衝撃に対しても非常に弱く、簡単に石揺れ、石落ちするものでした。
耐久性が著しく劣るデザインだったのです。
このデザインは、当社の基準では初めから不合格でしたので当社では採用しませんでした。
宝石業界全体が『お客様』よりも『売れるもの』を優先した為に落ちた落し穴だと思います。
ジュエリーを購入される方が一生安心して着けられるデザインを業界全体が真剣に考えていれば、このような事はおきなかったでしょう。